太陽の季節/完全な遊戯 石原愼太郎の文学 第九巻 短篇1

太陽の季節/完全な遊戯 石原愼太郎の文学 第九巻 短篇1の詳細

2011年初現在「都条例」で騒ぎが起きているところですが、やはり、批判や議論をするには、まず「これを読まなければ」なりません。今や、出版社社員・作家は必読の書です。絶版も多かった石原作品ですが、この赤い表紙の2007年版のおかげで気軽に書店や図書館で手に取れるようになりました。内容は1 灰色の教室2 太陽の季節3 冷たい顔4 処刑の部屋5 ヨットと少年6 北壁7 透きとおった時間8 男だけ9 若い獣10 完全な遊戯11 乾いた花12 鱶女13 ファンキー・ジャンプ14 十八歳15 密航16 「無意識」の系譜の短編16編で、平均30ページ前後。1編10分ちょっとで読めます。注意点として、制服女学生を殺害する「十八歳」や、精神を病んだ女性を暴行殺害する「完全な遊戯」薬で眠らせて暴行する「処刑の部屋」等があるので、文学少年少女が読むものではありません。その内容故に、60年代のエロ漫画がなかった時代のエロ本書きと揶揄される事もありますが、これは、読めば否定できます。むしろ、エグイ表現などは最小に抑えて、若い衝動や乾きといったものを、並ではない文章で描ききっているのは、さすがと納得することでしょう。巻末の解説は石原作品ガイドとして優れていますし、オタク石原論として斬新・異質なので、一読の価値があります。今や、行政論、立法論研究として読む価値もあります。自費出版をしている人は、この本を読んで引用し、大まじめに石原批評をイラスト付きで行えば、お守りになるかもしれません。